映画シナリオ英日対訳

「キャスト・アウェイ」(スクリーンプレイ出版)

2001年9月1日 初版  

¥1、200

この映画の英語について

現代のアメリカン・スタンダード英語を味わうことができる。主役のチャック(トム・ハンクス)は、メンフィスの国際宅急便会社のシステム・エンジニア。当然、まわりの人たちはビジネスの関係であり、恋人のケリー(ヘレン・ハント)は大学院生で博士論文に挑戦している。そういう環境で話される会話なので、言葉使いも内容もレベルの高い洗練されたものになっている。

どの場面も現代を象徴するリアリティに富んでいる。アメリカでは、もはや珍しくない女性パイロットが、離陸直前にチャックたちが飲んでいるワインをみて、言う。

I see no evil, hear no evil, and speak no evil.

(見ざる、言わざる、聞かざる-P28)

乗った飛行機が墜落し、九死に一生を得たチャックは、南太平洋の無人島へ漂着する。やっとの思いで、食べ物を探し、火を起こし、流れ着いた宅配便の中からバレーボールを見つけ、その上に人の顔を描いて、ウィルソンと名付ける。雨の日も風の日も、話し相手はウィルソン。ケリーの絵を描いてウィルソンにみせる。

Shes much prettier in real life.

(実際の彼女はもっともっと美人だよ-P82)。

4年経ったある日、チャックは自分で作った筏で島から脱出し、通りかかった船に救助される。文明社会の時の流れはチャックのそれよりずっと速く、ケリ−は結婚していた。チャックはケリ−に会いに行く。2人には過去の4年は存在せず、昨日から今日になったかのような錯覚にとらわれる。

I love you. Youre the love of my life.

(愛しているわ。わたしの大切な永遠の恋人よ)

I love you too, Kelly. More than youll ever know.

(ケリ−、ぼくも君を愛している。今まで以上に。-P126)。

それでも、2人は別れる。それがチャックの選択だった。

チャックは言う。

Tomorrow, the sun will rise. Who knows what the tide could bring?

(明日、太陽は昇る。潮流が何を運んで来るかは誰もわからない-P130)。

チャックは無人島で将来の希望なしに生きていた。そこへ新しい潮流が来て、船出するチャンスに恵まれた。


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